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■【アンケート結果】風営法意識調査
■ 風営法改善の署名活動の発起人に聞く
■ DJ LEAD Interview -逮捕の真実と風営法の現状-
■ 中本幸一 Interview -風営法問題に翻弄された『WORLDOUT』の内実-
■ 弁護士に聞く、クラブと風営法




クラブを取り巻く風営法問題。はたしてそこに齟齬はないのか。
今回は法律の専門家であり、クラブにも精通する栄枝総合法律事務所の齋藤貴弘弁護士に話を聞いた。
取材・文/杉山忠之


取材協力 栄枝総合法律事務所:齋藤貴弘弁護士(@SaitoChin


柔軟な著作権システムを提案するNPO、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)所属。弁護士として音楽関係を含む様々な相談を受けるとともに、CCJPではサンプリング・ワークショップ の企画、L.Aのdublabによるユニークなリミックス・プロジェクト"INTO INFINITY"を日本で展開する。


なぜ風営法が制定されたのか
その成り立ちを知る


「現在の風営法は、第二次世界大戦後、1948年に制定されました。戦前は風俗営業とともに、食品、旅館衛生面においても、警察が強力な権限を持ち管理監督していました。それだけに規制運用はとても恣意的で、文化統制的な意味でも大きな問題になっていたのです。同時に、当時は敗戦直後の混乱期。そこに欧米の新しい文化も流入し風紀も乱れていきました。そこで、警察の権限の絞り込みと風俗面の取り締まりを運用するべく風営法が制定されたのです。
 当然のことながら深夜における営業が規制され、同時に深夜営業するにしても店舗内でダンスさせることすら風営法の規制内におかれてしまいました。その背景には、日本においてはキャバレーに近似した形態と見なされ、当時そこでは売春事犯が多数発生していたためと言われています。ダンスは男女間の享楽的な雰囲気を冗長し、性道徳の紊乱と社会の善良の風俗に影響を及ぼす可能性のあると見なされてしまったのです。
 従って当時は社交ダンスも規制内にあり、風営法で規制されていました。ビリヤードも対象だったのですが、その後時代にあわせ法律は改正を繰り返し、それらは対象から外れることになったのです」


風営法によるクラブの取り締まり
クラブ営業は何が悪いのか


「まずは、風営法における営業許可は1号から8号までの、計8つの対象に分けられ、営業形態、用途に合わせ各店舗それぞれ許可申請が必要になります。いわゆる、キャバクラやホスト・クラブ、マージャン、ゲームセンターなどがここにあてはまります。
 そのなかで、クラブは3号もしくは4号の営業許可が必要になるのですが、これを取得すると営業時間は24時、あるいは25時までとなります。既存のバーや居酒屋のように深夜営業、朝まで営業を行なうためには、また別の許可申請が必要となります。しかし、そちらでの申請を行なうとなると深夜に店舗内でダンスをさせるという営業行為はできなくなります。
 そもそもこのような営業行為は、風営法の上位法である日本国憲法により、職業選択の自由、営業の自由として保障されています。それゆえ、法律による過度な規制や、警察による恣意的な取り締まりは、営業の自由に対する違法な侵害行為として違憲になります。もっとも、営業の自由に関しても様々な社会的制約のなかで実現されなければならず、規制目的が重要で、規制手段も合理的なものであれば、風営法などによる規制は許容されます。問題は、現在の風営法にそのような規制としての合理性があるかという点です。
 規制目的は、風営法1条によれば『善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため』とあります。この目的自体はもっともだと思いますが、過度に広汎な制約は許されませんし、また恣意的な運用も許されません。風営法が想定するような事実が、実際のクラブの現場にどれほど存在するのかは疑問だと思います。ここで根深い問題として存在するのが、クラブに漠然と漂うイメージの悪さです。
 例えば、性的な問題、ドラッグや暴力問題、近隣への騒音などが考えられます。一部にはこのような問題が実際に存在するのかもしれませんが、だからといってクラブ営業全体の規制が直ちに正当化されるわけではありません。クラブに遊びに行っている人は、もちろんそういったことはないと知っていると思いますが、世間の大半の人はそのようには思っていません。
 そのように実態とかけ離れ、社会を独り歩きしているクラブのイメージの悪さが、必要以上にクラブに対する強力な規制を招いてしまっているのだと思います」


風営法が抱える問題点
それは改正することができるのか


「そもそもクラブカルチャーは、国家的な視点に立っても、とても重要なものだと思います。
 例えば、経済的な効果や文化的な貢献などですね。海外ではクラブが活性化することによって、クラブやその関連産業が大きな経済的な効果を生んでいる例が多々あると思います。日本ではCDが売れなくなり音楽業界が低迷しているなどと言われていますが、クラブやライヴ、フェスの現場はまだまだ元気で、たくさんのお客さんが集まり、盛り上がっています。音楽への関わり方も皆で音楽の楽しみをシェアするという方向にシフトしていると思います。
 そして、何よりもクラブはクリエイティブな文化が日々誕生している場です。現在、アートや音楽の現場で活躍している人、そこにはクラブという現場で音楽を楽しみながら学び、多くの出会いを得たという人も多いのではないのでしょうか? クラブはそういった音楽やアートが日々生まれる場であるわけで、そもそも国がそのような文化的な領域について介入することは避けられるべきです。
 風営法が、このようなクラブ・カルチャーの意味に目を向けず、規制を強化するようであれば、日本という国にとっても大きなマイナスになることは明らかだと思います。
 風営法は時代の流れに合わせ、頻繁に改正を繰り返しています。そうして新たに規制の対象になった営業もありますし、ビリヤード場のように規制の対象から外れた業種もあります。法律が変わらなくても、規制態様についての運用は頻繁に変わっています」


なにより取り組むべきは
クラブに対する負のイメージの払拭


「いまクラブのイメージは確実に悪いですね。特に世間をにぎわせた数々のドラッグ問題が大きいと思います。
 薬物を買った側も皆が口を揃えてクラブで入手したと供述しています。実際、私も麻薬絡みの刑事事件をよく扱いますが、クラブで手に入れたという供述がよくなされています。クラブは不特定多数が集まり、足が付きにくいというのが一番の理由だと思います。
 しかし、実際はそのような事実はないとしても、嘘でもそう証言されてしまえば、警察側もマークする必要性がありますよね。その他にも、クラブにはお酒がつきものだけに、性的犯罪、暴力事件もごく一部にはあると思います。
 クラブはもともとアンダーグラウンドなもので、そういった危うさを伴うものであり、ある意味自己責任、シーンが撒いた種でもあると思いますが、いまはもう少しそのバランスを考えるべきかもしれませんね。私自身、クラブは仲間や尊敬する人たちが集まる場所で、もちろん麻薬を買いにいくわけでも、ナンパをしに行くわけでもありません。ただ、クラブによっては、みんなが楽しめないような雰囲気の場所があるのは事実だと思います。
 しかし、そういった負のイメージは状況を悪化させるわけで、そうではないということをもっと積極的に発言していく必要があると思いますね。いまのクラブ・シーンにはその基盤となるものが絶対的にありません。それは非常に大きな問題だと思います」


クラブはどう生きていくべきか
今後の対応策を考える


「例えば、クラブ運営者たちが事業者団体を組織するというのは有効な手段かもしれません。
 パチンコやカラオケは、経営者や関連企業が組合を作り、自らルールを作り、取り締まっています。これは権力への対向措置として昔からある方法です。自治領域を主張し、自ら問題を解決することをアピールし、そこへの外部権力への干渉を排除するのです。これまで、このような取り組みがなされたことはおそらくクラブ業界にはなく、早急に取り組む必要があると思います。
 前にも述べた通り、クラブ業界全体を見てみれば、大きな経済効果があり、海外から多くのアーティストを招くなど、文化的な側面もある。日々生産的な運営ができれば、国もその芽を潰すことはないと思います。そうしながら、風営法に関しては地道に交渉していくことが大事だと思います。
 あとは、いまツイッターで風営法改正に向けた署名運動が行なわれていますが、そういった活動も有効だと思います。国会議員は民意を受けた活動を行い、国民からの支持を得ます。数万人の署名が集まれば国会議員を動かすこともできると思いますね。
 実際に、かつて風営法改正は比較的議員立法によりなされています。現在はステレオタイプなクラブ=悪い場所というイメージがあれば、国会議員はそれを民意と受け止め、規制強化に行くのは当然のことだと思います。
 そしてイメージの改善も急務です。事業者団体を通し、広報活動は積極的にやっていくべき。みんなが足並みを揃え、クラブがクリエイティブな場だということを主張するべきですね。アーティストなど影響力のある方が発言をすることもいいでしょう。また、音楽の場で活動している方々だけでなく、広くクリエイティブ産業、アート産業で活躍されている人や企業が積極的に関わっていく必要があると思います。みんなが問題意識を持つ、そういった啓蒙活動は必須です。お客の意識を変えることで状況も変わると思います。
 クラブはいま大変な時期だと思いますが、できることはまだまだ多く残されていると思います。自分たちが意味のあることをやっていると胸を張ってがんばってほしい。すぐに変化があるわけではないかもしれませんが、自分たちの思いを唱え続けることが大事だと思います。同時に、クラブの価値を高めていくことも。
 日本には素晴らしいクラブがたくさんあります。現状では、その良さが世間に伝わっていません。これからそれをどう伝えていくか、考えてなくてはいけないのです」







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