 |
 |

取材・文/高木“JET”晋一郎
今回の取材を遅刻してきた上に到着するなり「今日久々に階段でパンチラ見て! でも、すげぇブスだったんですよ!」と熱く語り出し、今回発表する「LEGENDオブFILE MIX」への熱意の高まりを、常人とは違う形で発露してくれた
LEGENDオブ伝説 a.k.a. サイプレス上野。
タイトルからも窺える通り、古くはいとうせいこう“MESS/AGE”をはじめ、TYCOON TO$Hや高木完、スチャダラパーおよびLBネイションの作品をリリースした「MAJOR FORCE」レーベル、MICROPHONE PAGERやSOUL SCREAM、GAGLE、そしてRHYMESTERを擁した「NEXT LEVEL RECORDINGS」など、日本語ラップ史上でも最重要なレーベル/リリースを多く抱え、現在でもPSGやQN from Simi Labなど新たな才能を発掘しているFILE RECORDSがリリースしてきた、その膨大なカタログの中から、LEGENDオブ伝説が大いなる愛と相当量の呪いを込めミックスした本作。
「この話をもらったときは『ついにきた!』って気持ちと同時に『俺に依頼するなんて、何考えてんだ!』と思いましたね」と話す彼にとっても、「DearCustomer」シリーズなどの自主制作ミックスのリリースや、『申し訳ないと』などでの数々の実地経験はあったものの、レーベルのオフィシャル・ミックスは初。
「FILEのカタログをまとめて聴き直したんですけど、気が狂うかと思いましたよ、20年以上の歴史があるから量も膨大だし時系列的にも広すぎて。だから、今回収録した他にも重要曲や人気の高い曲があるのは重々承知の上で、今回は“自分が通過してきた曲や影響を受けた曲”を中心にしました」と話す通り、今回収録された曲は彼自身が思春期に影響を受けたであろう90年代の楽曲を中心にまとめられている。
ただし、そうなるといわゆる「懐メロ」的な捉えられ方もされそうだが、今回収録された曲の強度は現在でも通用する高さを誇り、まったく色褪せておらず、かつLEGENDオブ伝説の丁寧で物語性をしっかりとミックスに織り込んだプレイによって、さらに音源をフレッシュに聴かせてくれる。
特にRHYMESTER“星に願いを”からKOHEI JAPAN“夜の狩人”の流れは、コミカルでありながらも「この流れがあったか!」という示唆に富んだものだ。
「まあ、この流れは嫌がらせですよね(笑)。MCが適当にやってるミックスじゃなくて、DJが聴いても納得してもらえる内容にしようって。だから名義も変えてるのも、“ラッパーがやってるDJ”じゃなくて、“DJとしてもちゃんと成立してる”ってことを提示したくて。ミックスも、特にオフィシャルになると見本市みたいなのが多いじゃないですか。だから一曲目のRIP SLYME“サヨナラを言わせないで”で、それとは違うんだよっていうのを宣言したくて」。その意味では内容的にはハードな楽曲が多いのも特徴だ。
「言いたいことを言えるって時代でもあったし、かつ直接言うんじゃなくて、でもオブラードに包むんじゃない、“面白く表現する”って曲が多いですよね。A.K.I. productionとか表現欲が狂いすぎ
てて、いまでも震えます」
今回では若手としてPSG、そしてサ上とロ吉もエクスルーシブとして“BayDream〜フロム課外授業”のPUNPEEリミックスを収録。ここ並ぶことで、彼らの起こしている新風は、当時のシーンに起こっていた新鮮さと近い感じを受け、ワクワクさせられる。
「昔の作品は派手さがないがゆえに、全部が浮き彫りになってて、素材の味で勝負してるスゴさを感じましたね。この時期は聴いてたけど、いまはヒップホップを聴くのをやめちゃってるって人は、まだ俺らやPSGみたいな面白いことやってるヤツがいるってのを知ってほしいし、まだ日本語ラップは生きてるぞって。逆にこの作品からからこの時代の曲を聴く人には、興味を持ったら配信も含めて掘ってほしいっす。あとFILEってレーベルが狂ってるってことも! しかももっと狂ってる曲もあるから、第二弾ができるならではそこを中心に出したいっす」
LEGENDオブ伝説●レジェンド・オブ・デンセツ
ご存知サイプレス上野とロベルト吉野のマイク担当のDJ名義。普段のラップ・スタイルとは打って変わり、楽曲を大事にする流麗なミックスを聴かせることでも有名。これまでにCD-Rなどで発表してきたミックスは数多く存在するが、オフィシャル作品を手掛けるのは今作が初となり、そのスキルが存分に発揮されて話題騒然。

LEGENDオブ伝説 a.k.a. サイプレス上野
「LEGENDオブFILE MIX」
File
2,300円
|
 |
|
 |
 |